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POEMS



「二次元」


道はまっすぐにのびている

はずだった


突然きれて その先がない

二次元の風景の中で立ちすくむ
三次元の私


何をめざすのか
どこに向かうのか
今までをどうふりかえるのか

二次元の私になってしまう前に・・・・

 

 

 

 

「あんまり海が美しいので」


あんまり海が美しいので

わたしは不安になりました

あんまり星が美しく
あんまり空が美しく
あんまり時間が夢のようで

わたしはひたすら不安になりました

長いあいだ探しつづけていたはずの
これこそその幸せのようなのに

ざわざわ
ざわざわ

失うことが怖くって
幸せでいるのが怖くって

ざわざわ
ざわざわ

わたしはすっかり不安になりました

 

 

 

 

「つながっている」


だれも知らないちいさな島の
ちいさな波は
世界中の海と
つながっている

だれも知らないおおきな山の
いっぽんの木は
世界中の森と
つながっている


私が ここに
いま 生きていることは
宇宙のはじまりからの約束


あなたとつながり
すべてとつながり

過去とつながり
未来とつながり

私は
つながっている


目をとじれば
ただ 光の海

 

 

 

 

「美しい本」


どこか深い森の奥に
小さな泉が湧きいでていて

その冷たく澄んだ水を
両手に掬ってすこしづつ飲むように

その水が喉から胸
胸から魂へと
ひとすじにひろがっていくように


そんなふうに
毎日すこしづつ美しい本を読もう

 

 

 

 

「たいせつなもの」





野原いちめん

空色の星のような
おおいぬのふぐりの花が咲く星の


美しさ

 

 

 


「菜の花」


いちめんの菜の花
のむこうに
富士山

見なれた風景なのに

感動する


炊きたてのご飯に
あたたかい味噌汁

毎朝なのに

感動する


あたりまえのことが
あたりまえにある

幸せ

 

 

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ありがとう」


ありがとう
私と同じ星に生まれてくれて

ありがとう
いまこの時に生きていてくれて

ありがとう
私にこんなにも愛させてくれて


ありがとう

あなた

 

 

 

 

「雪」




ふりつむ




ふりつむ


しんしんと
しんしんと
しんしんと

一切を
白い沈黙に閉じこめて




ふりつむ


どこかに

かすかに光る玉のような春を
ひそかに抱きながら


合唱組曲「ふるさとのように」山下祐加作曲 より

 

 

 

 

「新しい朝」


朝おきて

空を見あげる


おはよう

ふいに 
涙があふれた

生きているって
こんなにもうれしいことなんだ

 

 

 

 

「ものさし」

 
どちらが正しいか正しくないか
どちらが善いか悪いか
どちらが優れているか劣っているか

そんなまっすぐなものさしでは
世界を計ることはできません


空のひろさ
空の大きさ
空の深さを計るには

人の美しさ
人のいとしさ
人の尊さを計るには


まあるい愛のものさしが必要です

 

 

 

 

「咲ききる」


花も
人も

いまを咲く


さいごまで


咲ききる

 

 

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「存在」


ただ
そこに
花が一輪ある


それだけで
あたりいちめんが
愛につつまれる


人もまた
そのように生きることはできないものか

 

 

 

 

「猫」


昼下がりの街角で
すれちがったのら猫の
鋭く射るように私を覗きこむ灰色の瞳

あなたは
いのちをかけて生きているか

すべての向こうに
大いなる計らいがあり
確かな意味があり

そのただなかで
あなたは
毎日をいのちをかけて生きているか


問い詰める 瞳

うろたえる 私

 

 

 

 

「さようなら」


さようなら
さようなら
さようなら

あなたはいつか死ぬでしょう

私もいつか死ぬでしょう


それでもいま
たったいま
永遠のように満ち足りて
永遠のように幸せで

さようなら

失うことが怖くって
なんで恋などできるでしょう


(詩集ぷくぷく・1994)

 

 

 

 

「大切なことだけを」


あなたとは
ほんとうに大切なことだけを話したい

小さな花の
そのはなびらに宿る朝露の
神々しい美しさを


樹液を吸っていっせいに芽吹く木々の緑の
いのちに満ちたよろこばしさを

手のひらにすくう
ひとすくいの泉の水の
細胞のすみずみまでをよみがえらせる
きよらかさを

あなたのまなざしのむこうに見えている
ものみなすべてに宿る愛の
なんと尊くありがたいかを

人間が人間であるために
ほんとうに大切なこととは何なのかを

 

 

 

 

「私が死ぬ日に」


あなたは ただ黙ってお茶をのんでいます。
あなたは ときおり私を見てほほえみます。

私も 黙ってお茶をのんでいます。
私も ときおりあなたを見てほほえみます。

気持ちよく晴れた午後
なにごともなく
風が良い匂いをはこんでいます。


私が死ぬ日に
思い出すとしたら
きっとこんな日のことなのでしょう。

 

 

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よりそう」


大変だったね
辛かったね
悲しかったね


ただ
ありのままをきいて
そっとよりそう

ただ
美味しいものを
いっしょに食べる

 

 

 

 

「やわらかく」


ひらきはじめた花に
しずかに降りそそぐ雨のように

そっと
そっと

たいせつに
たいせつに

やわらかく
やわらかく

ただ
ここにいよう

 

 

 

 

「ワクワク」



木たちは とてもとてもうれしいのです

小さな芽が一枚の葉になって
あおあおと空を覆うように
いのちがつぎからつぎへと
燃え上がっていくことが

木のそばに立っていると
木たちのワクワクが伝わってきます

だから
ほら

みんな
春には こんなにうれしそうなのです

(詩集「ミラクル」より)
(山下祐加作曲・合唱曲集「ふるさとのように」から)

 

 

 

 

「さみしい朝」




小さな水たまりに
うっすらと
氷がはった


ひとさしゆびでつつくと
ハリリ

かすかな音をたてて
はなびらが散るように
消えた

宇宙のどこかにも
きっと
さみしい人が
いるのだろう

 

 

 

 

「芳醇な孤独」


静寂

のなかに
無数の音


暗闇

のなかに
無数の色


芳醇な

孤独

 

 

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夜」


眼を閉じる


大地のうえに
わたしひとり

宇宙のなかに
わたしひとり


ふりそそぐ
億万の
星のまなざし

 

 

 

 

「つなぐ」


その時

宇宙がはじまった


そうして
地球がうまれ
生き物がうまれ

わたしたち みんな

宇宙のこども
星のかけら

わたしたち みんな

いくたびも
いくたびも

いのちをつなぎ
想いをつなぎ
愛をつなぎ

つないで
つないで

いま

私が ここに

 

 

 

 

「お月見だんご」


火星には
どうやら 湖があるらしい

地球は窮屈になりすぎたから
火星に移住しようと
真剣に考える人もいるようだ


風がさやさやと音をたてはじめた

兎が棲む星をみながら
揺れるすすきと
美しい人の柔らかい肌のような
白玉だんご

地球に生きる
幸せ

 

 

 

 

「AIに詩は書けるか」


ほんのかすかな一瞬のゆらぎから
この宇宙が生まれたように

詩が詩であるためには
いのちのゆらぎが
そこにあるか

ロボットにお寿司はにぎれても
最後に心を震わせるのは
ひとの手が生み出す
いのちのゆらぎ

 

 

 

 

「ひたひたと」


さくらがいのいろに 
つめをそめる

ほそいガラスのびんに
野の花をいける

家族で
あたたかい食卓をかこむ


ある日

ふと
消えてしまう
今日というやさしい時間


ちいさな不安に
目をとじているあいだに

ひたひたと
いつのまにか
しのびよる

いのちをおしつぶすものの気配

 

 

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「種」


白い花は 白い花に咲く
青い花は 青い花に咲く

みずから決めた そのとうりに


それぞれに
それぞれの色を
せいいっぱい
無心に
ひたすらに

みずから決めた そのとうりに

いま
私は

みずから決めた そのとうりに

全存在をかけて
せいいっぱい
咲き切って いるか

 

 

 

 

カシオペアの形」


ひとが死んだ

残された者たちは
それぞれにそれぞれのひとを語り合った

あるものはひとの恋を
あるものはひとの夢を
あるものはひとの仕事を

あるものは ひとはシェダルという星だったと言った
あるものは ひとはカフという星だったと言った
あるものは ひとはルクバーという星だったと言った

きれぎれに浮かんでくる
きれぎれのひと


ひとが
星たちの連なったカシオペアの形だったことを知るものは

誰ひとり
いない

 

 

 

 

「声」


無視する
ではなく

あきらめる
でもなく

がまんする
でもなく

戦う
でもなく


ただ あるがままに
ただ ありのままを

おだやかに受けとめ
そして
しずかに手ばなす


目を閉じて 幹を抱いて
木の息づかいに自分をゆだねていると

かすかに
深いところから聞こえてくる


だいじょうぶ

このままでだいじょうぶ

あなたはだいじょうぶ

 

 

 

 

「世界中の息子たちへ」


たとえ
どんな大義があろうとも
私はあなたが殺されるのを見たくはない

それにもまして

たとえ
どんな大義があろうとも
私はあなたが殺すのを見たくない


この世に生きて
守らなければならないのは
魂なのだから

 

 

 

 

「私が私であるために」


憐れみよりも
誇り

誇りよりも


愛よりも

自由

 

 

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冬のいちご」


帰るところがある
ふりかえる道がある
待っている人がいる

あたりまえのことが
あたりまえなのが
どんなに尊いことか

冷たい風の日に
冬のいちごでかざられた
特別なケーキを食べる幸せ

毎日の世界の風景の中で
このあたりまえが
どれほどあたりまえではないことか

 

 

 

 

「幸せ」


あなたはだれの幸せですか?

あなたの笑顔
あなたの言葉

なによりあなたが生きていること


そのことだけで
幸せと思ってくれる人のいる

幸せ

 

 

 

 

「 はじめに愛があった」


はじめに愛があった。

そして
天が
地が
風が
水が

生きものたちが生まれた。


それから
人が生まれ

言葉が生まれた。


果たして
言葉は

すべての源であった
愛を
語ることができるのだろうか。

 

 

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素直」


うれしい時には
素直にうれしいと喜び

美しいものには
素直に「ああきれい!」と感動し

悲しい時には
素直に涙を流し

なんだか変な時には
素直になんだか変だと言い


ただ自分のこころに聞きながら
素直に生きていきたい

 

 

 

 

「光 のち 雨 」


春がうまれて
風が吹いて
ひろがる光
みなぎる光

花が咲いて
木々が芽吹いて
かがやく緑
みなぎる緑

時がすぎて
雨が落ちて
ふかまるいのち
みなぎるいのち


めぐって
めぐって

永遠の輪廻

 

 

 

 

「あなたが天使になった日」


あなたが天使になった日

空はトルコブルーに蒼く澄んでいました

いつものように


風は涼やかに
光はきらめき
梢では鳥たちが歌っていました

いつものように


私は紅茶をいれて
すこしの杏と
バターをつけたパンをゆっくりと食べました

いつものように


あなたが天使になった日

朝はいつものように始まり
そして夜はいつものようにやってきました

 

 

 

 

「桜」


桜が咲く

いっせいに咲く

満開に咲く


見上げるだれもが
うれしげで

世界は平和に
人々は愛しあい
家族は無事で
悩みも苦しみもなく
明日をおもいわずらうこともなく

そう信じてしまえるような
一瞬の
桜幻想


そんな日に 死にたい

 

 

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「変わらないもの」


変わるものに
よりそい
受け入れ

でも
流されず
ひきづられず
うちのめされず


私の中の
変わらないものを

かじかんだ指先に
そっと息をふきかけてあたためるように


たいせつに
守っていきたい

 

 

 

 

「しっかりと 深く」


一人の目を
しっかりと
深く
見る

ひとつの言葉を
しっかりと
深く
感じる

一瞬の時を
しっかりと
深く
生きる

いま
ここに
在るわたしを

しっかりと
深く
呼吸する

 

 

 

 

「まっすぐに」


子どもが走っている
まっすぐに
懸命に
子どもが走っている

子どもが泣いている
魂をふりしぼるように
全身をふるわせて
子どもが泣いている

子どもが笑っている
はじけるように
爆発するように
子どもが笑っている

少しのごまかしも
少しのためらいも
少しのてらいもない


その本気を
全存在をかけてまっすぐに受け止められる世界は

どこにあるのか

 

 

 

 

「信じる」


すべての本質は
善きものだと

信じる

ちっともそうは見えなくても
それでも

信じる

なにひとつ納得できる理由がなくても
ただ ひたすら


信じる

 

 

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「私には名前があります」


私には名前があります

世界中でたったひとつ
誰のものでもない
私だけのための名前があります


すこやかに
しあわせに

きれいな水をのみ
季節の恵みを食べ
のぼる太陽に感謝して
いっしょうけんめいに生きるようにと
いっぱいの愛をこめて
つけられた名前があります


ひとつの名前に家族があり
ひとつの名前にいのちがあり

かけがえのないたったひとつの名前

世界中のひとりひとりとおなじように
私には名前があります

 

 

 

 

「つたえたいことがあります」


あなたに

つたえたいことがあります


あなたの国は
あなたがうまれるずっとまえに
一つの約束をしました

もうけっして戦争はしない
この国の人は だれにも殺させない
ほかの国の人も だれも殺さない


なんてすてきな約束でしょう


生まれたあなたは
その約束にまもられて
平和の中でそだちました

約束をまもりつづけるのは
かんたんなことではありません

それでも
あなたがしあわせだったように
これからうまれてくる子どもたちも
しあわせにそだつように

この約束をまもる
勇気と知恵をもちつづけることが
私たちの責任なのだと

いま
あなたに

ぜひ つたえたいのです

 

 

 

 

「あたりまえのこと」


やめてください 殺すのは
やめてください 奪うのは
やめてください 犯すのは
やめてください 争うのは
やめてください 破壊するのは
やめてください 傷つけるのは
やめてください 辱めるのは

なんでこんな当たり前のことを
素直にいえないでいるのだろう

ひとりひとりは懸命に
人として人らしく
幸せにくらすことを願い続けているというのに

 

 

 

 

「透きとおる」


透きとおる

透きとおる

お鍋の中で大根が透きとおる
フライパンの上で玉葱が透きとおる
たっぷりのお湯につかってそらまめの緑が透きとおる

透きとおったら
それが
いのちを与える合図


透きとおる

透きとおる

透きとおる笑顔
透きとおる声
透きとおる存在

透きとおる人は
それまでにどれほどの沸騰点をくぐりぬけてきたのだろう

 

 

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「四月」


地に光
風に光

花に光
水に光

みちみちて
あふれるいのち

さあ
みんなでいっしょに
食卓をかこみ
季節のめぐみを
楽しもう

世界は

幸せで 平和で
ないはずはない


四月の
晴れた日

 

 

 

 

「まぁるい食卓」


まぁるい食卓を囲もう

みんなで囲もう

大切な人も
はじめて出会った人も


世界中で囲もう


笑顔がつながる


言葉はいらない

 

 

 

 

「気づいているか」


「戦争ってのはね
最初から戦争の顔はしていない
まず
自由がなくなる
そして、食べるものがなくなる
それからなんだ
ほんとうにおそろしいのは」
と、その時代を生きた人がいう。


まだ戦争ではない
かろうじて自由も残っている
食べるものはといえば、
あふれるほどに、豊かだ

そこから、
日常を奪われ
人としての尊厳を奪われ
果てはいのちまで奪われるまでの距離に
私たちは気づいているのだろうか

笑顔を交わしながら
ささやかでもみちたりて食べられる幸せを
私たちは守れるのだろうか

 

 

 

 

「手をとろう」


あなたの手をとろう

わたしの手にとろう


手から手に
つたわり ながれる
いのちのあたたかさ


たいせつなひとの
かけがえのないひとの
手をとろう


ものみなすべて
この星の
たいせつな
かけがえのない

いのちの手をとろう

 

 

 

 

「いつもだれかが」


いつも
だれかが
どこかで

私を想っていてくれる

たとえ
会えなくても
たとえ
離れていても
たとえ
会ったこともない見知らぬ人だとしても

いつも
だれかが
どこかで

私を想っていてくれる


それだけで
人生は
じゅうぶんに 生きるに値する

 

 

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「ぬくもり」


決して

怒らない
憎まない
恨まない
ねたまない

ただ 
あるがままに
ありのままを
おだやかにうけいれる

どれも
なかなかむずかしい


それでも
少しはできたかなと思える日には

心の中の陽だまりから
やすらかなぬくもりが
ゆっくり 私をつつんでいく

 

 

 

 

「ぶどうのように」


人は
人として生きることを
えらんで生まれてくる


ぶどうは
ぶどうとして生きることを
えらんで生まれてくる

ひとつぶ
ひとつぶ

ただ生きているのがうれしいと
生きることは喜びなのだというような
はじける完璧な球形


人が
ぶどうのように
生きるためには

何を信じることが必要なのか

 

 

 

 

「守るものは」


暮れかかる路地を曲がると

開け放たれた窓から

カタカタと食器のふれあう音
子どものはじける笑い声
かさなるおとなたちの笑い声

あたたかなにおい


灯火管制という言葉など知らない
夕暮れ時の幸せ

 

 

 

 

「となりの戦争」


戦い
争う

この二つの文字の
間に
背後に
いったい なにがあるのか
私にわかっているだろうか

家が焼かれ
国が滅び
父が息子が殺し
子が母が殺され
少女が犯され
ほほえみに満ちた毎日の自由が奪われ
人はみな 人を疑い
貶め
辱め
生きていることは苦しみに満ち
大切な思い出も未来の希望も
ひからびた記憶となり

なにより
人が人でなくなり

劫火のなかで
逃げ惑い
絶望にうずくまる自分の姿を
私は この二つの文字に見ることができるだろうか

戦争という言葉が
軽々しく
さりげなく
いつのまにかとなりに坐って
なれなれしく肩に手をかけているような
気配の中で

私は
戦争について何をわかっているのだろうか

 

 

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「尊い光景」


歩き始めた赤ちゃんは
お母さんの手につかまえられて
キャッキャッと笑い声をたてる。

恋人たちは
みつめあいながら
嬉しげに わけもなく笑いあう。

少女たちは
うぶげを光らせながら
歌いあい さざめきあい
ただ ただ
笑いがとまらない。

木々は光に揺れ
風の匂い
土の匂い
草の匂い

噴水には
たくさんの虹

太陽は空を回るのを忘れてしまったかのように
のびのびと暖かな手をひろげ

午後の公園では
時間も
うっとり幸せ


守らなければならない光景とは
このようなものではないだろうか。

 

 

 

 

私が子どもだったころ」


私が子どもだったころ
この国で
戦争があった

みわたすかぎり

親や子を失ったひとたちがあふれ
心を失ったひとたちがあふれ


それからほんの少しの時がたって
まだ私は生きているというのに
まるでどこか遠い国の話のようで
思い出すことさえなくなった


私が子どもだったころ
この国で
戦争があったことを

いまだって
世界中で戦争は
現在進行形だということを

思い出さなければ
思い出さなければ

それがもういちど
そしらぬ顔で
この国にいすわってしまう前に

 

 

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すべる言葉」


美しい日本


あかるくさわやかに
言われると

ついつられてうなづいてしまう

でも
美しいとは
どんなことなのか
どんな未来を見ているのか

よく考えてみれば
私が美しいと思うのとは
まったく違う未来かもしれない

ぺらぺらと
すべる言葉は
何も言っていないのと同じだ
ほんとうは何を言っているのか
私はわかっているのか

立ちどまろう
聞き返そう
ゆっくり深く考えよう

その未来を生きるのは
私自身なのだから

 

 

 

 

「のぞむ」


はるか
かなた

キリマンジャロのいただきに
雪はふりつもっているか


はるか
かなた

私の心のおくの
深い青の湖に
光はふりそそいでいるか


のぞむ

いつでもなく
なにでもなく

ただ

まちのぞむ

 

 

 

 

いのちの星」


子どもがうまれたとき
世界中の子どもたちをおもった

孫がうまれたときにも
世界中の子どもたちをおもった

いのち
一瞬一瞬に
大きくなり
強くなり
しなやかになり
その手は空をめざし
その足は大地をふみしめ
ことばは世界をとらえ

いのち
いきいきと
よろこびにあふれ
みずみずしく
やわらかく
のびやかに
あたたかく
まぶしく
きよらかに
かぎりなく

地球上にみちみちる
いのちの奇跡


かがやいて
わたしの星

 

 

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「あなたをくらべない」


あなたをくらべない

わたしをくらべない

だれとも
なにとも
くらべない

ただ
いま
ここに

わたしのなかの
あなたのなかの
いちばんうつくしいものが
ゆっくりと花ひらくように


光 みちてくる

 

 

 

 

「別れるということ」


すこしも風はないのに
はなびらが
はらりと
落ちた


美しい花を
美しくしていたはなびらは
花をはなれるとき
どんな覚悟をするのだろう


はなびらを
手ばなすとき
花は
なにを思うのだろう

 

 

 

 

グッドモーニング・トゥディ」


おはよう!
新しい一日!

ただ希望だけにみたされている
新しいはじまり

オール・ザ・ベスト!

一番素晴らしいことだけが
私を待っていてくれる

おはよう!
私の新しい一日!

 

 

 

 

「手をとろう」


あなたの手をとろう

わたしの手にとろう


手から手に
つたわり ながれる
いのちのあたたかさ


たいせつなひとの
かけがえのないひとの
手をとろう


ものみなすべて
この星の
たいせつな
かけがえのない

いのちの手をとろう

 

 

 

 

ひらく」


わたしを ひらこう

はなが ゆっくりひらくように
かもめが なみにただようように

わたしを ひらこう


そらのどこかから
みまもるまなざしに
すべてをゆだねて


おそれずに

わたしを ひらこう

 

 

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いちにち」


朝が

きらきら
ひかって

やってきた


たったいちどの
今日 いちにち


たのしみなさい
よろこびなさいと
いうように

 

 

 

 

「海よ」


海よ 海

わたしはあなたの
ひとしずくの涙


この地球を覆いつくす
憎しみと 怒りと 恐怖を
ただ静かに見守り続ける


あなたの
深い悲しみの涙

 

 

 

 

「 いつかこの星から」


水が消え
緑が消え
いのちが消え


さらさらと乾いた砂だけが
風にのって
無限の時間の中をいったりきたりしている
妙に明るい風景

その時
私は ロトの妻のように
振りかえる砂のかたち

立ち尽くす肩のあたりから
すこしづつ すこしづつ 崩れ落ちて
やがて あとかたもなく消える


いっそう明るい風景

 

 

 

 

「勇気の理由」


いちばん大切なものはいのちです
と 子どもたちには教え

すべて生きとし生けるもののいのちこそ
もっとも尊いのです
と 言いきり

それでいながら
やっていることといったら


世界中は
うそつきたちで
いっぱいです


それでも

きっと
どこかに

いのちをかけて
このことばを守ろうと
誠実に生きる人々がいることを


私は 知っています

 

 

 

 

「エレガント シンプリシティ」


一袋百八十円のルッコラの種を買った
それまでは君子蘭を植えていたベランダの鉢に蒔いた

よく晴れた五月の朝に
フジコ・ヘミングの
「小鳥に説教するアッシジのフランチェスコ」を聴きながら
熟れたトマトと
少しのにんにくと
オリーブオイルで食べた


ただ ありがたい

 

 

 

 

「たいせつなもの」





野原いちめん

空色の星のような
おおいぬのふぐりの花が咲く星の


美しさ

 

 

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「咲く」


つぼみが

ひらく


なにを祈って

咲くのだろう

 

 

 

 

「雪」


ふりつむ


ふりつむ


しんしんと
しんしんと
しんしんと

一切を
白い沈黙に閉じこめて


ふりつむ


どこかに

かすかに光る玉のような春を
ひそかに抱きながら

 

 

 

 

「夜明け」


そらはいちめん
蒼をひそかに混ぜた黒です。

果てしなく 凍るような沈黙です。

でも いま
ヴァイオリンの弦が かすかに震えたのに気がつきましたか?

私の手のひらにのせた水晶が
ほら
すこしづつ すこしづつ さくらいろに輝いて来ました。


いま 生きているものたちも
もう 死んでしまったものたちも

みんなみんな
ひとつの祈りの声になる一瞬

閉じた瞳の奥に 音のない音楽があふれます。


美しい日が始まるのです。

 

 

 

 

よりそう」


あなたのかなしみに
あなたのなみだに
あなたのほほえみに

ただ、しずかによりそっていよう


あなたのかたのあたりが
いつでも
ほんのすこし あたたかいように

 

 

 

 

幸せの理由

幸せでいる


カサカサと
落ち葉をふみながら
あたたかい陽だまりにいるように

やさしく
うれしく
やすらかに

ただ
幸せでいる


理由は ない

 

 

 

 

「水底に」


深い山の中の
深い谷の奥の

ちいさな川の
そのせせらぎの
水底に

月の光を浴びて

蒼みがかって
しらじらと
しらじらと
光を放つ
白い石がある

あれは
輪廻の旅の
どのあたりなのだろう


目を閉じて
心を鎮め


私の心の奥の
白い石を探しに行こう

 

 

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「からっぽ」


しゃべっているときには
聞こえない

見ているだけでは
見えてこない

音にみたされていれば
ほんとうの音は心にとどかない


目をとじて
耳をすまして
ただしずかにからっぽでいよう

 

 

 

 

美しい日」


美しい日だった

空は晴れ
光は満ち
風はさわやかに
小鳥は歌い

桜は満開で
若い緑が あふれる希望で木々を彩り始めていた

人はみな幸せそうな笑顔で歩いていた

「ええ
あなたたちがあんまり粗末にするものだから
今日かぎりで終わりにしようと決めたんです
だから 最後の一日
おもいっきり美しい日にしました」


と言われても
仕方がないと思えるほどの

美しい日

 

 

 

 

「宇宙(そら)の時間」


ゆっくりと
すぎてゆく 雲

ゆっくりと
すぎてゆく 森

ゆっくりと
すぎてゆく 時

ゆっくりと
すぎてゆく 人


ゆっくりと
すぎてゆく 悲しみ

さらさらと
宇宙をみたしながら
きらきらと
雲母のようにひかりながら


ゆっくりと
すぎてゆく 深い 悲しみ

 

 

 

 

「おしみなく」


世界中に
太陽がのぼる

あふれる
きんいろ
あふれる
ばらいろ
あふれる
あかねいろ


おしみなく
おしみなく
ふりそそぐ光

おしみなく
おしみなく
ふりそそぐ愛


まいにち
まいにち
永遠の

 

 

 

 

「未来へ」


火に劫かれ

水に沈み

氷に閉じ込められ

地に呑みこまれ

風に引き裂かれ


そうして いくたび
地球は
浄められ
また 蘇ったことだろう


いま
地球は

愛によって浄められなければならない

光によって浄められなければならない


それが
わたしたちひとりひとりの

魂の使命

 

 

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「一センチの時間」


地球は
一センチの土を作るのに
数千年も
数万年も
待ち続けました

いま
ひとは
一センチの表土を
一瞬のうちに取り除き
 
まるで
時間が存在しなかったかのように
ビニール袋につめて
どこか見えないところへ
隠します
 
罪の想いにふるえおののくこともなく

 

 

 

 

「遠くを見よう」


目をあげて
遠くを見よう

空を見よう
山を見よう
海を見よう
人を見よう

目をあげて
もっと遠くを見よう

見えているものたちすべて
語られることばたちすべてを超えた
はるか遠くを見よう


目をあげて
遠くを見よう

 

 

 

 

「生きています」


わたしは
生きています

いのちを守るからだと
いのちを輝かせる心と

ふたつながら
おしみなく
与えられて

存分に生きよと


いま
ここに

わたしは
生きています

 

 

 

 

「人は」


人は

自然の中には存在しないものを
創った

人は

自然の中には存在しない我慾を
持った


人は
いま

自然の中のいきものとしてのいのちを
もういちど
取り戻すことができるのだろうか

 

 

 

 

「レクイエム」


茫然とするこころに
悲しいこころに
辛いこころに
苦しいこころに
怒るこころに
悔やむこころに
恨むこころに
憎むこころに


ただ
ひたすら
そっと
よりそっていよう

 

 

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「泣いていたのはだれですか」


泣いていたのは
あなたですか

ただたちつくして
ただしずかに
ただとめどもなく
なみだをながしつづけていたのは


そらのかなたから

泣くことでしか
たくさんの魂をだきよせることができなかった
あなたの悲しみの深さがひろがります


泣いていたのは
あなたなのですね

 

 

 

 

「ひとはいつでも」


ひとは
ベンチにすわって
海を見る

ひとは
ベンチにすわって
海のはるかむこうを見る


ひとは
ベンチにすわって
空を見る

ひとは
ベンチにすわって
空のはるかむこうを見る


ひとは
いつでも
はるかむこう
どこか見えないあたりに

無意識に
希望をさがしている

 

 

 

 

「自由」



目覚めて 思う


私の今日を
どのように
創造するか


決めるのは
私自身だと

 

 

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「さみしい朝」


小さな水たまりに
うっすらと
氷がはった


ひとさしゆびでつつくと
ハリリ

かすかな音をたてて
はなびらが散るように
消えた


宇宙のどこかにも
きっと
さみしい人が
いるのだろう

 

 

 

 

「金木犀」


角を曲がると

夜いっぱいに 金木犀の香り


私を乗せて月へ旅する
幻の船

 

 

 

 

「かわせみをみる」


「ここで かわせみをみました」

深く鎮まった池のほとりで
人が言った

対岸の木立は闇

「瑠璃色にかがやいて翔ぶのをみました」

水面にはかすかな風

一瞬

きらりとかがやいて
瑠璃色のかわせみ


私の心を
一直線につっきって


翔ぶ

 

 

 

 

「ひとすじの水」


山と海のあいだ

宇宙(そら)と地のあいだ

いのちといのちのあいだ

生と死のあいだ

時と時のあいだ

ほほえみとほほえみのあいだ

いま ここにたつ
わたしをめざして

ものみなすべてのあいだをぬいながら

ひそやかに
きよらかに

みなもとから

ひとすじの水

 

 

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小鳥をつつむように」


小鳥を
てのひらに
つつむように


しずかに
だれかを
あたためていたい

 

 

 

 

「ありたい」


いま

ここに

わたしが生きている

ということに


ただひたすら
素直でありたい

生かされている

ということに


ただひたすら
謙虚でありたい

 

 

 

 

「花が咲くように」


花が咲くように
わらいたい

花が咲くように
おどりたい


花が咲くように
愛したい

 

 

 

 

「手ばなす」


いっしょうけんめい
握りしめていた拳を

ふっと肩の力をぬいて
ひらいてみる

てのひらを
太陽があたためる


愛するでもなく
愛されるでもなく

赦すでもなく
赦されるでもなく


ただ 手ばなす

なにも思わずに
ただ 手ばなす


てのひらを
風が通りぬける

 

 

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「ひとりで立つ」


ひとりで立つ


すがすがしいか

さびしいか


覚悟

感傷
のあいだに

 

 

 

 

「北に向かう窓」


北に向かって
ひとつの窓がある

簡素な美しい
窓がある

その向こうには
さやさやと風が流れ
音もなく雨が降り
木漏れ日がひそやかに光る


静かだ

いつか
私はあの窓の向こうに立てるのだろうか


手を合わせ
心を鎮めよう

 

 

 

 

「希望」



まっかに燃えて
桜は葉を落とします

でも
その後に
梢にしがみつくようにしてのぞいている
無数の芽が用意されています

瞳をこらしてみなければ
ほとんど気付かないほどの
ちいさなちいさな芽

そのひとつひとつが
いっせいに花ひらき
風にゆれ
あたりいちめんを良いにおいのピンクいろに染める日を
夢見ているのです

冬の冷たい風のなかで
ちいさな芽たちが見る夢が
やがて来る春に
満開の桜を花開かせるのです

 

 

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「遺言」


流れ星がひとつ 逝きました
南の空で 逝きました

またたく星にもなりきれず
花のような雲にもなりきれず

冷たく暗い宇宙を
ひとりぼっちで旅をして

そうして地球にめぐりあい
どんなにうれしかったことでしょう


それなのに
大気にふれた その一瞬
輝く光に燃えつきて 

燃えつきて


流れ星がひとつ 逝きました



流れ星!

みあげた人々の胸に
流れ星の遺言が
小さな星の形で残ります


みんなみんな 幸せに

みんなみんな 幸せに

 

 

 

 

「もうひとりのあなた」


あなたを愛しつづけていたら
あなたがだんだんよく見えるようになりました

一生懸命話しているあなたの横顔のむこうに
目を閉じておだやかに微笑んでいる
もうひとりのあなた

いそがしげに手を動かしているあなたのすぐ横に
うっとりと夢の中のようにゆれながら踊っている
もうひとりのあなた


そんなもうひとりのあなたを見ている
もうひとりのわたし


この世界に重なるようにして

もうひとつの世界

 

 

 

 

「愛」


いのちは
いのちであるというだけで
すでに
無条件に
尊い


愛とは
その尊さに手を合わせることではないか

 

 

 

 

「光 のち 雨」


春がうまれて
風が吹いて
ひろがる光
みなぎる光

花が咲いて
木々が芽吹いて
かがやく緑
みなぎる緑

時がすぎて
雨が落ちて
ふかまるいのち
みなぎるいのち

たからもののような季節
たからもののような地球


めぐって
めぐって

永遠の輪廻

 

 

 

 

「あなたからはじまる」


あなたがほほえめば
あの人もほほえみます

あなたが泣けば
あの人も涙します

あなたが怒れば
あの人も怒ります

あなたが憎めば
あの人も憎み
あなたが愛すれば
あの人も愛します


すべては
あなたからはじまるのです

 

 

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「朝の食卓」


その小さな部屋には
いっぱいに光があふれていた

東の空のどこかで
細く透き通った声が歌っていた


さあ
テーブルに真っ白い布をかけて
大きなグラスに
たっぷり光をそそぎ

ひといきに飲みほそう

 

 

 

 

 

「デイヴァイン」


ふりしきる 雪

ふりしきる 雪

アンナプルナのいただきの白い無限に
ふりしきる 雪

夜の海原の果てしない暗黒に
ふりしきる 雪

北極の輝く氷のひろがりに
ふりしきる 雪

世界いちめん 
時を超えて

ただひたすらに
ふりしきる 雪


生き物の気配が
ひそともしないということは
なぜこんなにも神聖なのか


生き物の私の胸に
あたたかくひろがりながら

ふりしきる 雪

 

 

 

 

「坐る」


大地の上に
人と人が

向き合って
坐っている


自分と自分が向き合って
ただ坐っている

なにも見えなくても
ただ坐っている


すっと澄んでくるものがある

 

 

 

 

「輪まわし」


あなたの中に私がいて
私の中にあなたがいる

世界の中に私がいて
私の中に世界がある

うちの中にそとがあって
そとの中にうちがある

いまの中に永遠があって
永遠の中にいまがある


すべての中に

なんにもない


ひらりとひるがえる
輪まわしの輪

 

 

 

 

「今日のわたし」


今日は
よりよい明日のために

より賢く
より尊敬され
より立派な
明日のために

でも

立ち止まって
自分の鼓動を静かに聞いていると

なんだかとても気持ちがいい

今日は すでにこんなにも素晴らしく
今日のわたしは わたしのままでこんなにも素晴らしいと

胸を張って
みんなに告げよう

 

 

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「私という存在」


私の手
私の目
私の足
私の からだのひとつひとつ


私のかなしみ
私のしあわせ
私のおそれ
私の こころのひとつひとつ

かさなりあって
つもっていって

それでも
私という存在は
どうやらその集積だけではなさそうだ


全体と個とのあいだにある

みちみちて
ひびきあう

いのちの海


私という存在

 

 

 

 

「風のゆくえ」


風が私を吹き抜けるとき
いつでも私はうれしかった

光に包まれた
パチパチはじけるなにかが
歌いながら
喜びにみちて私を貫いて 

私もまた
ひと吹きの風になる


誰もまだ聞いたことがないけれど
誰もがもうすでによく知っている歌

風は私に何を伝えていたのだろう
風は私をどこへ連れていこうとしていたのだろう

 

 

 

 

「まなざし」


目を閉じて
しずかにすわっていたら


なにかが近づいてきて

じっと
私をみつめていた

 

 

 

 

「涙」 


泣きたかったら
泣いてもいいのです

ただわけもなく
泣いてもいいのです


あなたの心を
あたたかい涙が
時をかけて
しずかにしずかに
洗い浄め

ありのままのあなたにもどるまで


泣きたいだけ
泣いてもいいのです

 

 

 

 

「静けさ」


深い木立の
その一本一本の木々のあいだにひそむ
静けさ

ふりしきる雨の
そのひとすじひとすじのあいだにひそむ
静けさ

溢れるほどの言葉の
その一言一言のあいだにひそむ
静けさ

夜空を覆う星たちの
その光と光のあいだにひそむ
静けさ


目を閉じる私の
その心とからだのあいだにひそむ


深い静けさ

 

 

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「シンクロニシティ」


梢の先の緑の葉っぱが
キラッと光って

とてもとてもうれしくなった


とてもとてもうれしくなったら

緑の葉っぱが
キラッと光った

 

 

 

 

「角を曲がると」


角を曲がると

また角があって


またその角を曲がると
また角があって

曲がっても曲がっても
また角があって

でも
きっといつか
角を曲がると
まばゆい光に満ちた野原に出るにちがいないと

信じながら

また 角を曲がる

 

 

 

 

「いつもとおなじ午後」


いつもとおなじ午後
いつもとおなじ空
いつもとおなじ風


そんな
なにげない一瞬に

突然
息がとまるかと思うほどに
細胞のすみずみまでがふるえるほどに
涙があふれてとまらないほどに

どうしようもなく
魂がさらわれるときがあります


すれちがいざま私にむけられた
一点のくもりもない赤ちゃんの笑顔

花びらに光る
ひとしずくの露の完璧な球形


ああ、ものみなすべて
すでにこんなにも美しいのだ
という 衝撃

 

 

 

 

「ひとつの愛」


ひとつの谷に
ひとつの泉


ひとつの星に
ひとつのいのち


ひとつの宙(そら)に
ひとつの愛


あふれて
あふれて


みんな
ひとつ

 

 

 

 

「何兆分の一の奇跡」


この星に  わたしがうまれて
この星に  あなたがうまれて


そして

いまここに めぐりあう
何兆分の一の奇跡

たいせつに
たいせつに

 

 

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「夢」


いちばん美しい星

いちばん美しい花

いちばん美しい風

いちばん美しい水

いちばん美しい空


いちばん美しい心


いちばん美しい、私

 

 

 

 

「ふるさとのように」


そらのどこかに
ちいさな泉がひとつ

冷たく澄んだ水が
いつもいつでもあふれていて
私をきよめてくれる


そらのどこかに
大きな手がひとつ

子守唄のように
いつもいつでも暖かく
私を守りつづけてくれる


そらのどこかに
まっすぐな言葉がひとつ

迷い続ける私を
いつもいつでも愛にみちて
そっと導いてくれる


私を愛してくれている
ふるさとの人のように

 

 

 

 

「覚悟」


芒とした部屋の空間を
一身に はっしとうけとめて
一歩もひかず りんとしてゆるぎない

野の花の一輪


美しいという言葉さえなまぬるい

いのちひとつの
覚悟

 

 

 

 

パンを焼く」


心をこめてパンを焼く

ていねいに紅茶を入れる


あなたがいて
私がいて


ただ
それだけの

永遠

(エンジェル)

 

 

 

 

「水のような」


握っていた手を
ゆっくり ひらいてみる


そこに
何もないことを
認める 覚悟


ひたひたと
私に満ちてくる

水のような

寂しさ

 

 

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「美しい本」


どこか深い森の奥に
小さな泉が湧きいでていて

その冷たく澄んだ水を
両手に掬ってすこしづつ飲むように

その水が喉から胸
胸から魂へと
ひとすじにひろがっていくように


そんなふうに
毎日すこしづつ美しい本を読もう

 

 

 

 

「にほんご」


はれやかに
かろやかに
すずやかに

やわらかに
きよらかに
やすらかに


美しいことばたちにたすけられて
今日の私は
どう生きるのか


ただ
うれしい

 

 

 

 

「たいせつなもの」



野原いちめん

空色の星のような
おおいぬのふぐりの花が咲く星の


美しさ

 

 

 

 

「愛しています」


愛しています
愛しています
愛しています


とくになにということもないのだけれど

くりかえし
くりかえし
声に出して言っていると

私の心は
いつのまにかすっかりうれしくなって
ハミングなんかしながら
明るいそらのあたりに浮かんでいる


一緒に歌おう
小鳥たち

 

 

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「私は私を愛しているか」


私は私を愛しているか

私は私を十分に愛しているか


私の寂しい時にそっと暖かくよりそい
私の嬉しい時に共に喜び

私のからだと
私のこころを

いつもいつもやさしく見つめながら
その幸せのために
そこにいるか

宇宙が私を愛してくれているように
母が
恋人が
子どもたちが私を愛してくれているように


私は私を
いのちをかけて愛しているか

 

 

 

 

「祈るかたち」


右のてのひらと
左のてのひらを

ていねいにしっかりと合わせて

目をとじる

そうして
しばらく坐っていると

右のてのひらから私自身が
左のてのひらからも私自身が
私の中に分け入っていって

奥へ奥へと
私自身を探しにいく

 

 

 

 

「普通のなかに」


普通のなかに
神様がいて

普通のなかに
天国がある

ただ毎日の普通を
ていねいに生きる


ていねいに
自然に感謝して

ていねいに
人を愛して

普通に 幸せに生きる

   
(ぷくぷく)

 

 

 

 

「ひとはいつでも」


ひとは
ベンチにすわって
海を見る

ひとは
ベンチにすわって
海のはるかむこうを見る


ひとは
ベンチにすわって
空を見る

ひとは
ベンチにすわって
空のはるかむこうを見る


ひとは
いつでも
はるかむこう
どこか見えないあたりに

無意識に
希望をさがしている


〔一年後のレクイエム、そして未来へ〕

 

 

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「上着」


あなたの
その上着
脱いでみませんか?

ええ
あなたが大切にいつも着ている
その上着です


あ!
裸のあなた

なんてみずみずしく
美しいのでしょう

少し不安そうに
やわらかく立っている

ほんとうのあなた

ほら
気持ちが良いでしょう

両手をのばしてみてください

空は
あなたの上に無限にひろがっています

光がつかめましたか?

 

 

 

 

「ギブとアクセプト」


与えるときには
ただただ
心の喜ぶままに与える

ただ与えることの幸せに感謝する


受け取るときには
ただただ
ありがたく嬉しく受けとる

ただ素直に受け入れることの幸せに感謝する
 


与えることと受けとることのあいだには

なんの関連もない

 

 

 

 

「あなたが一緒にいる時は」


あなたが
わたしと一緒にいる時は


いちばん素直な心で
いちばんやさしい気持ちで
いちばんやすらかな想いで

ただ満ち足りて
おだやかに幸せでいられるように


そんなわたしでいられるように

 

 

 

 

「ゆれる」


木のこずえがゆれる

花の影がゆれる

あなたのまなざしがゆれる

私の心がゆれる


ぶらんこのようにゆれる

ダンスのようにゆれる


ただ ゆれているうれしさ


私の奥深くにある
いちばんうつくしいものが
バランスをとろうとして
ただ ゆれているうれしさ

 

 

 

 

「ワクワク」



木たちはとてもとても嬉しいのです

小さな芽が一枚の葉になって
あおあおと空を覆うように
いのちがつぎからつぎへと
燃え上がっていくことが

木のそばに立っていると
木たちのワクワクが伝わってきます

だから
ほら

みんな
春にはこんなに嬉しそうなのです

 

 

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「いのち」


あなたに触れる

なんという
やすらかな暖かさ

この宇宙を
何億年ものあいだ
一瞬もやすむことなく
星がめぐり
月がめぐり
太陽がめぐっているように

あなたの宇宙を
脈打ち 流れ めぐりつづける


いのち

 

 

 

 

「私のなかに」


私の神殿
私の教会
私の聖地

きっと それは
みんな 私自身のなかに


探しに行かなければならない
探しに行かなければならない

私の魂の奥深くへ

残された明日を祈るために

 

 

 

 

「いっぽんの白樺のように」


私の足のうらは
地球のいちばん深いところにつながっています


私のあたまのてっぺんは
宇宙のいちばん遠いところにつながっています


そうして
私は

いっぽんの若い白樺の木のように

宙(そら)と地のあいだに
まっすぐに
ふわりと立って

さやさやと風に葉末をゆらしながら

私のうたを
うたっていよう

 

 

 

 

坐る」


大地の上に
人が二人

人と人が向き合って
ただじっと坐る

自分と自分が向き合って
ただじっと見つめあう

なにも見えなくても
ただじっと坐っている


すっと澄んでくるものがある

 

 

 

 

「ことだま」


祈りの い
癒しの い
いのちの い

いっしょうけんめいの い
いっぱいにの い

いつも
いつでも
いつまでもの い

生きるの い


朝 祈りながら思う

今日一日
こんなふうに 生きていきたい

 

 

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「あなたと歩いていると」


いったい私は
なにをそんなに急いでいたのでしょう
いったい私は
なにをそんなに必死で探していたのでしょう


あなたとならんで
ただだまって歩いていると
私はちっとも急がない
私はなんにも探していない

なにもかも
そこにあるがままに美しいから


空を見ても
海を見ても

あなたを見ても
私を見ても

なにもかも
そのままに美しいから

 

 

 

 

「雨」


雨がね りろりろ降っていたんだよ。
透き通った窓ガラスを伝わり落ちて
ひとつぶひとつぶ キラキラ光りながら
りろりろ りろりろ、
りろりろ りろりろ。

いいえ。
雨はね。シトシト。
雨はね。ザーザー。

リロリロなんて降らないのですよ。
と 先生はまじめな顔で子供たちに言います。

そうして
子供たちの中の天使の魂は
ほんとは知っていても知らんぷりをすることを
覚えます。

そして
そのうち
あんまり退屈だから
翼をひろげて
どこかに飛んでいってしまうのです。

 

 

 

 

「井戸」


空は晴れています

花たちは揺れています

蜜蜂たちは
ずいぶん忙しそうです。

ここは私の庭です

向こうのすみのくさむらに
古い井戸が隠れています

そっとのぞいても
あおみがかった真っ黒な穴があるだけ

小石をひとつ
投げ込んでみても

いくら待っても
音は帰ってこない

その彼方に何があるのか

ほんの一瞬
どこからか光が溢れてきて
井戸の底が柔らかく輝くような気がする時があります


ここは私の庭です

 

 

 

 

「愛について」


愛を知っていますか?

あなたは愛を知っていますか?

毎日毎日
世界中は
愛という言葉の洪水です

でも
どれがほんとうの愛なのか
あなたは知っていますか?

もしかしたら
それは
便利や安心や執着やなれあい
時には 恐れやあきらめが
愛のふりをしているだけかも知れません

ほんとうの愛を探しあてるには

辛く難しいことですが
愛についての思い込みや思い違いに気付くことから
出発する他はないのではないでしょうか


あなたは 愛を知っていますか?

 

 

 

 

「脱皮」


蝉が殻を脱ぎ捨てる
海老も殻を脱ぎ捨てる
蛇も皮を脱ぎ捨てる
さなぎも繭を脱ぎ捨てる

柔らかいからだと
柔らかいこころで
まったく新しい世界に生まれるために

いのちをかけて


人もまた
いのちをかけて生まれる

せまく暗い道を
息を詰まらせ
血にまみれながら

柔らかいからだと
柔らかいこころで
この世界に生まれてくる

そんな勇気を
誰もが持って
この世に生まれてきたことを
私たちは
すっかり忘れてしまっている

 

 

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「きっと逢える」


希望をお探しですか?


希望なら 昨日 海の見える丘で夕日を見ていたそうですよ。

ああ それから
りんごの花の満開の下で少女たちと楽しげに踊っていたとも聞きました。

銀色に輝く魚のように泳ぎ続ける少年たちに大声をかけていたのも
あれは 希望だったという噂です。

希望は あちらこちらに ひらりひらりと現れたり 隠れたり・・・。

でも どこかで
きらきら光をふりまく笑い声が聞こえたら
きっとそこに希望はいます。

あきらめてはいけません。
きっと逢えます。

探し続けていさえすれば
きっと逢えます。

きっと きっと・・・。
ほら ね。

あなたの すぐ横に。

 

 

 

 

「ヒーリングエナジー」


ちかごろ
私たちのあの小さな星は
ちょっと元気がないようですね

いやいや
ほんとはだいぶ悪いのだと聞きました

あんなに美しい星なのに
あんなにやさしい星なのに

あれほど美しく輝いていたブルーが
なんだかすこしどんよりしてきたような気がします

それどころか
時折 悲しみに満ちた叫び声をあげているのも聞こえてきます

私たちのなかでもとりわけ美しい星なのに
私たちのなかでもとりわけやさしい星なのに

もういちど 元気になれるでしょうか
もういちど あのいのちに満ちた輝きを取り戻すことができるでしょうか


祈りましょう
祈りましょう
宇宙のみんなで

祈りましょう
祈りましょう
宇宙のきょうだいたちみんなで

 

 

 

 

「風のゆくえ」


風が私を吹き抜けるとき
いつでも私はうれしかった

光に包まれた
パチパチはじけるなにかが
歌いながら
喜びにみちて私を貫いて 

私もまた
ひと吹きの風になる


誰もまだ聞いたことがないけれど
誰もがもうすでによく知っている歌

風は私に何を伝えていたのだろう
風は私をどこへ連れていこうとしていたのだろう

 

 

 

 

「祈り」


私は愛されています

あなたに
たくさんの人々に
私をつつむすべてのものたちに
そして
私自身に

私は愛されています

愛は
与えるだけでなく
自分をいっぱいにひらいて
ただ無心にひたすらに
受け入れ 受けとめることなのです

なんと力強く
なんとやすらかな気分でしょう

怒りからも
悲しみからも
恐れからも
憎しみからも
私は解放されています


もし
世界中の人々がみな
どんなに自分が愛されているかに気付くならば

この美しい星は
きっと救われるにちがいありません

 

 

 

 

「二匹の魚のように」


二匹の魚のように


水のなかを泳いでいこう


光の降りそそぐ源を目指して

もっと遠く
もっと遠く


まっすぐに

清らかな水のなかを泳いでいこう

 

 

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「時の名前」


いま

あなたが私と一緒にいる

その息づかい
そのぬくもり
私を見つめる瞳の色

いま

あなたは私と一緒にいる

鳥はうたい
波はよせ
空はあおい


でも
明日のあなたを私は知らない

明日の地球を私は知らない

だから
いま
このときだけを
深く深く呼吸しよう

深く 深く
深く 深く

それが
永遠と名前を変えるまで

 

 

 

 

「ひとのふしぎ」


晴れやかな朝

おだやかな夕暮れ

炊きあがったご飯の
ふっくらあたたかな匂い

「おいしいね」
「うれしいね」
「今日も無事でありがたいね」


その同じ時間に

どこかで若者が殺され
どこかで少女が強姦され
どこかで子どもが飢えて死に

ピシリとアイロンのきいたユニフォームの青年が
あどけない横顔を見せながら
上空から テレビゲームのように
逃げまどうぼろきれのような老人を狙い撃ちし

地雷を踏んだ人間の手や足や首が散乱し


うすいベールのような現実の向こうに透けて見える
時折のサブリミナルな光景

それでも何事もないかのように
楽しげに笑いあう

ひとの ふしぎ

 

 

 

 

「サークル」


海が青いのは
空が青いからです

空が青いのは
海が青いからです

私が幸せなのは
あなたが幸せだからです

あなたが幸せなのは
世界が幸せだからです


そして
世界が幸せなのは

私が幸せだからです

 

 

 

 

「大いなるもの」


なぜこんなに空は美しいか

なぜこんなに花は美しいか

なぜこんなに
木も草も星も海も美しいか


ただひとすじに
ただひたすらに
美しくありたいと願い
全き調和をめざす
なにか
大いなるものの意志


ただ その前に
手をあわせていたい

 

 

 

 

「未来へ」


火に劫かれ

水に沈み

氷に閉じ込められ

地に呑みこまれ

風に引き裂かれ


そうして いくたび
地球は
浄められ
また 蘇ったことだろう


いま
地球は

愛によって浄められなければならない

光によって浄められなければならない


それが
わたしたちひとりひとりの
魂の使命



(一年後のレクイエム、そして未来へ)

 

 

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すべて このままで」


静かに
ただ静かに


からだを横たえる


地球が
私を抱きとめる


その暖かな手
大きな心

私をみつめる
いつくしみに満ちた
宇宙のまなざし


なにもかも理解され
なにもかも許され
なにもかも受け入れられ
なにもかも愛され


すべて
このままで


私は
いま
ここに

 

 

 

 

「不在」


たしかに
ここに何かがあったような気がします


きりとられた形
えぐられた穴


ええ
たしかにそれは
そこにあったのです


くっきりと
あざやかに


いま
ここにいない


不在という名の
不在

 

 

 

 

「ミラクル」


帽子の中から
鳩が飛びたったからといって
なんでそんなに驚くことがあるでしょう


冷たい土の中の
ほんの一粒の硬い種から
柔らかい赤ちゃんの手のような葉があらわれ
さまざまな色の花たちを咲かせ
空を覆うほどの大きな木に育つことにくらべたら


(ミラクル)

 

 

 

 

「見えないものを」



満天の星


昼間も
ほんとうは
満天の星


(エンジェル)

 

 

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